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六月十六日
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牡蠣の運んでくる海
牡蠣齧る荒波立つや口の海
牡蠣を口のなかで噛んだときにひろがる、じゅるっとした感触は海を思わせるものとずっと思っていた。
それは、食べている相手が、最後のいのちをふり絞って、自分の居場所が海であったことを知らせているような気がしないでもない。
そんな、いのちの叫びやささやきを残す食べものはほかにもあると思う。
なまこ、筋子、うに、ほや、…
なんだか、ぬるぬるした感じや、内臓っぽいものが多い。
牡蠣すする脳天にめぐる潮の音
小さいころ、食べる習慣のなかったものは、いくつもあるけれど、ぼくにとっては牡蠣もそのひとつ。
魚っぽいものが苦手だったせいもあるけれど、はじめて食べたのはいつだったか記憶にはない。生牡蠣は、大学を卒業してから食べるようになったと思う。かきを、はじめて食べたのは、かきフライだったと思う。
生がきにしても、かきフライにしても、好物となるのに、時間はかからなかった。
品川で仕事をしていたころ、駅の近くにあったとんかつ屋でたまに、かきフライを食べた。とても大きなカキフライで、普通の二、三倍はある、俵形のコロッケのようなかきフライだった。
こんなに大きなかきがいるものかと、食べるたび、感心していた。
その後、あるとき、料理番組で、かきを二つ並べて揚げる調理法を見て、ああ、こういうことだったかと納得したけれど、もう、そのとんかつ屋は、遠くになっていた。
タネ明かしされても、ぼくのなかでは、あのかきフライが、マイベストかきフライとなっている。
「なんというつるつるさ!」
ーー 蛤の殻に入ったむき身の牡蠣は云った
2018年11月
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