六月十六日
六月十六日
六月十六日
見て読んで発見
Tei's BAR
Library
LIFE, TRIPs, MOUNTAINS & Discovery
Tei's BAR
Drink & Chat
- DRINK, AND, CHAT #002 -
SANKAIZUKE AT THE AIRPORT
山海漬が海を渡る話
……これは、困ります。機内には持ち込めません。
デンマークに仕事で行ったとき、成田空港のゲートでのできごと。
あれっ、なんかまずいもの入ってたかなぁ。鋏は預けた荷物の中だし、ウィスキーのスキットルは、歯磨きセットと一緒に入れた。
そんなはずはと、ぽかんとしていると
……これです。この瓶です。
……え、これ、液体じゃないですよ。なかは、ほらっ、数の子とか、漬物の刻んだのが入ってて、液体じゃなくて、ねっとりしてて
…… 山海漬、だめなんですか…
※ ※ ※
デンマークといえば、ビールの生産が盛んで、カールスバーグが有名ですけれど、あちこちの都市で、地元のビールがあるんで_す。ぼくらの滞在する、オーデンセという、デンマーク第二の町にも、おいしい地元のビールがあって、前に来ていたときによく飲んでいたのです。
デンマーク再訪の出張の話があがったある日のこと、不意に、あのビールで、山海漬でも食べたら、ビールも美味しいだろうな、と考えたわけです。
そうして、仕事仲間へのおみやげとともに、山海漬の瓶詰めも持って行ったのです。まあ、われものですから、機内持ち込みにしたのが運の尽き。
……ここで食べるか飲んでいただくか、廃棄となります
……(そんな、一気に飲めるはずのものでもなし……)
出発までの時間には余裕があったので、ひとまずゲートを入らずに戻って、荷物室に入れる荷物として預かってもらうことでことなきを得ました。
※ ※ ※
久しく、海外には行ってませんけれど、日本から出発する場合、午前中からお昼にかけての便が多かったので、成田への途中で、よくお惣菜を買って行きました。
飛行機が、出発して、食事までの時間、少し間があるので、その間に、軽くビールでも飲みながらの肴にするのです。
個人的には、京急スカイライナーのファンで、日暮里から乗ることが多く、日暮里かの駅内で、飛竜頭や枝豆のさつま揚げといった練り物を買うことが多かった。
そして、最後のゲートを出た待合いエリアでビールを二缶くらい買って、飛行機に乗り込む。
飛行機が出発するまで、途中で読むものやら、出発の準備を整える。離陸して、機体の姿勢が安定してからビールを開ける。
※ ※ ※
そのデンマークの出張は、十人ほどの男ばかりの集団で、少し体育会系っぽいメンバーもいて、楽しかった。
あるとき、みんなそろって、ホテルの近くのスーパーに買い物に行った折、ちょっとしたおかしな賭けというか遊びをしました。
例の、オーデンセの町のビールのお徳用パック24缶入りを買うのに、みんなでじゃんけんをして、びり三人がお金を出すなんてことを言い出す。これは少しへんですよ。大の大人が七、八人、輪になって、「よし、じゃん、けん、ぽんっ」て、はじめるんですから。外国のスーパーで、じゃんけんを知らない人が見たら、へんですよね。みな、多少は、ムキになっていますし。
ぼくは、見事に払う三人になりました。
けれども、みんなからそれなりに感謝され、重いビールの固まりを持つ必要もなくて、まあまあ、いい気分でした。それに、デンマークのビールは食べ物に比べると安いですから、出費もそれほどてもなくて。
わいわいがやがやの多い出張のなかで、山海漬って、どういうときに食べていたのかなぁ、いい話なんてないだろうかと思いますけれど、それがとんと覚えていないのです。ぜひにと持って行ったものなのに、ふしぎなものですね。
DRINK, AND, CHAT
2018年4月