六月十六日
六月十六日
六月十六日
見て読んで発見
Tei's BAR
Library
LIFE, TRIPs, MOUNTAINS & Discovery
NOBOTABI
further
奥秩父 多摩川源流、雨がちのテントの旅
SCENE 2 つかの間の晴れとから松尾の迷走
五月一日、三日目には、雨は上がり、散策にはちょうどよい日和となり、主稜から分岐している和名倉山まで、足を伸ばしてみることに。
全行程行けずとも、途中、東西の展望に開けた場所があるので、そこまででも有意義な散歩になるかと出発。
将監峠近く、山の神土の分岐からは藪の中を歩き、一つ目の目印の小ピークを、北側に巻く道に入ったところで、少し道が崩れており、そこを飛び越えたところがいきなり、アイスバーン。
アイゼンをテントに置いてきた足元を見られたと、退散がてら、南斜面の見えるところで、コーヒーとチョコレートで一服。
一面に広がる笹原に、春早いミズナラは、枝先を赤くしているのに見とれていた。葉を落としていた木が一瞬、冬の厳しさから解き放たれて、息吹を強くするひとときの時期、里から来た身にとっては、再び春に出会うのがとても嬉しい。
scene 3 どこで間違いが…
まだ昼前だったので、順当に唐松尾山へ。帰りに展望台に寄る勢いで山頂へ。登っていると、いつの間にやら、山頂だった。
天気が崩れぎみで、日ごろ、山では見ない雨レーダーを見たのが運の尽き。あと、三四十分で、雨が迫ってくる予測。
ちょっとお菓子を食べて、少し気を取り直して下山。小さな山頂の標識を背にして、来た方向へと歩きはじめる。辺りはもやがかかってきて、晴れでないがゆえの楽しみと思うとうれしい。
しかし、三十分ほど、歩くいたころに標識があり、たいへん焦る。昨日朝出てきた、笠取小屋に向かっていると。
そんなはずはと、コンパスで確認すると、テントを張った小屋とは反対方向に向かっていた。時間は二時半ころ、落ち着いて、来た道を引き返す。
再び山頂に立ち、注意深く道を辿った。もう一度、道をはずしかけたが、ほどなく帰る道は見つかった。暗くなる森のなかでは、肝を冷やした。雨は、とうに降り始めていた。
結局のところ、無事下山はできたけれど、油断は禁物ということを思い知った。
一回目に山頂からら下りてきたときにみた倒木が、たまたま、大きめの二匹のリスに見えて、微笑ましかったけれど、よくよく考えて見れば、実は、奴らは、こちらのことをばかしているのか。たどっている道をちょっとずつ、ずらして反対に行くように、ばかしているか、なんて思ってみたりもした。
※ ※ ※
やっとのことで戻った将監小屋では、結構な雨だった。、テントは張ってあるから、ひとまず、酒でもと、ビールを一つ。軒下で佇んでいる、登山客とこの二日間の顛末を話し合う。昨日、雁坂から上では、雹と横なぐりの雨だったとか。
お代りには、日本酒にして、軒から、雨が屋根の叩くさまをひたすら、ぼぉっと見ていた。
further, deeper #003
2019年4月 山梨県 多摩川源流の水干 〜 将監小屋周辺。